ー木曽路はすべて山の中であるー
島崎藤村の小説の冒頭が思わず浮かんできました。
長野の山の中、蛇行する細い道を走るツアーバスに乗っています。小説の題名がどうしても思い出せません。
旅行会社の国内ツアーへ初めて参加しました。5/19千歳発3泊4日、羽田空港から山梨県、長野県、岐阜県、群馬県を訪ねるという旅です。
出かけたことのない場所がほとんどなのに加え、3回の夕食と朝食、昼食も2回ついているのが魅力でした。
1日目は山梨県の山中湖・花の都公園。お花畑の遠景に富士山という景色がお目当てなのに、生憎、今にも雨が降りそうな雨模様。それでも何とか富士山の姿を見ることはできました。
宿泊は長野県蓼科(立科町)の白樺湖畔にある池の平リゾートホテル。部屋は新しく快適、夕食のビュッフェに美味しいズワイ蟹がたっぷり用意されているなど、品揃えも味もなかなかで満足しました^_^
2日目は国宝松本城からスタート。5重6階の天守閣は黒漆喰の多い外観で、美しいけれど威圧的な感じを受けました。内部も公開されています。狭くてきつい階段を上って3階まで到達しましたが、次の階段前には行列ができていて時間が足りず、諦めました。
修学旅行の団体と一緒になったのが不運だったようだと、その時は思いました。でも翌日、足の調子が悪くなって歩行に苦労していますという話を、同じツアーの方数人からお聞きし、案外、幸運だったのかも(笑)と思い直したところです。
松本城の後は上高地へ。蛇行する山道をバスで登りながら、冒頭の一節が浮かびました。
穂高連峰の麓になるのでしょうか。梓川流域にある、「上高地」の名のとおり標高1500mの平地です。
時折、小雨の降る天候でしたが、バスを降りた「大正池」地点から河童橋まで、3.5Kmの道のりを歩いていくことにしました。
透明度の高い清流に沿って、カラマツやヤナギの林の中を進みます。ウグイスの声になごみ、月の輪グマ目撃情報ありの立札にビビり、猿の出現にドキリとしてこわごわ通り過ぎ、なんとか目的地の河童橋へたどり着きました。芥川龍之介の短編小説『河童』で有名になった橋とのことです。
一帯はホテルやカフェなどが集まっていて、登山客、観光客で混雑していました。いわゆるインバウンドの人の姿が多いのはどこも同じです。このあたりで、各自、昼食の時間を過ごし、次の目的地へ向かいました。
飛騨の小京都と呼ばれる岐阜県の飛騨高山です。
古い街並みを小一時間散策、宿泊は、部屋から高山の町が一望できるというホテルアソシア高山リゾートでした。
歩きに歩いて1万8千歩の一日が、ようやく終わりました。
さあ、明日は3日目。
なお、バスの中では思い出せなかった小説は、『夜明け前』でした。
山梨・長野・岐阜・群馬をめぐる3泊4日のバスツアーも3日目。
朝一番は「飛騨高山まつりの森」という施設にある「高山祭りミュージアム」でした。
高山祭は日本三大祭のひとつで、その大きな魅力は絢爛豪華な祭屋台にあり、江戸時代に造られ改造・修繕しながら伝わってきました。平成になり、伝統の技を後世に残そうと「匠」たちによって4台の「平成屋台」が新造され、ここでそれを見ることができるのです。また、屋台には「からくり人形」が組み込まれていて、コンピュータ操作で動きます。
からくり動作の時間は決まっているそうですが、私たちは貸切だったお陰で短い時間に、坂田近時が熊を退治する屋台、小僧さん?が桃を割っておみくじが出てくる屋台のほか、獅子舞、安来節、大きさで世界一から三までの大太鼓を叩くなど、沢山見学できました。思っていた以上に楽しかったです。
その後は、安曇野大王わさび農場で本わさび丼の昼食をとり、長野の善光寺へ移動しました。善光寺はツアーで唯一、出掛けたことのある施設で、極楽浄土を約束してくれる「お戒壇めぐり」も経験済みでした。あまりあちこちへは動かず観光案内休憩所に入って、善行寺の由来などを紹介する動画を視聴していました。
今夜の宿は草津温泉。日本一標高の高い国道である「志賀草津高原ルート」を通っていきます。最高2172m。道路脇には雪が残っています。左右に見える山の頂と雲海の景色には思わず、みんな驚きと感激の歓声を上げました。
草津温泉での見どころの一つは、幻想的な夜の湯畑とのこと。でも、ホテルはその温泉街から少し離れたところにあり、到着と夕食時間の関係で落ち着かなかったため、私は出かけませんでした。その代わりお湯は堪能しました!(^^)!
いよいよ最終日。
草津温泉名物湯もみショーからスタートです。とっても有名で、そうそうこういうものだよねという確認ではあるのですが、実際に見物するとなんとなく興趣を感じました。自由時間は、たっぷり足湯に浸かり温泉極楽でした(笑)
最後は軽井沢です。バスが軽井沢へ近づいていくと林の中に住宅が点在しているのが分かり、こういうところに有名人の別荘があるのかな?なんて思ってしまいます。私たちはまず、宿泊とレストランのお洒落な店「ロンギングハウス」で洋食ランチをいただきました。
ついで旧軽井沢を散策。観光地図に「室生犀星記念館」を見つけたので足を運びました。1931年に建てられ、疎開生活に使われ、没前年の1961年まで避暑のために過ごした旧居です。床の間や畳の落ち着いた和風住宅でした。堀辰雄や立原道造が訪れたり、近くに滞在した志賀直哉や正宗白鳥、川端康成らと交流したとのことで、そうかそうかと、軽井沢満喫した気分になりました。
軽井沢は有料トイレが多く、無料の公衆トイレが少ない(見つけたのは旧駅跡近くに一つだけ)のが驚きでした。
こうして、私の初めての国内ツアーは終了しました。
一行は39名。一人参加は私だけ。女性友人2人が1組、母娘2人が1組、三世代4人(祖母、息子夫婦と思われる2人、孫と思われる男性)が1組、それ以外は男女2人が15組という人たちでした。全員、集合時間はきちんと守り、感じのよい人達で本当に幸運でした。
そして、会話も多く仲の良いご夫婦ばかり。日頃の家事調停で、関係が悪化しているご夫婦と多くお会いしている私には、心のバランスが取れるよい機会になりました^_^
*写真は、上から①山中湖・花の都公園、②松本城下の模型(少し離れたところにある松本市立博物館にある)③④上高地散策路から穂高連峰を望む景色。⑤⑥高山祭りの屋台、⑦草津温泉湯もみショー
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